「まずは校門にタッチして帰るところから」
息子が不登校になってから、ずっと気持ちが重く、言葉にできない不安や焦りに押しつぶされそうだった。いつまで続くかわからない不安と向き合うのはとても辛かった。
そんな時、息子の中学の担任の先生から息子さんの今後について相談しましょうと連絡があった。学校に着くと、校長先生や教頭先生、学年主任の先生など、たくさんの先生が待って下さっていた。
とても明るく迎えてくださった校長先生が、まずは校門にタッチして帰るとか、そんなところからスタートしましょうか?と提案して下さったことで私の気持ちが軽くなった。
なぜ、もっと明るい気持ちで前向きになれなかったのだろうと思った。
待ってくれている先生がいること、息子にそれを伝えなくては、と急いで帰った。息子もその提案が嬉しかったようで、学校へカウンセリングに通えるようになった。明るい不登校になろうと息子にも言えた。
ゲームばかりの生活に不安だけど・・・
息子は毎日ゲームばかりしていた。カウンセリングの時に、自宅では何してるの?と聞かれると、始めの頃は勉強とか、と嘘をついていたのが、カウンセラーの先生との距離が近くなった頃から、正直にゲームしてると話すようになった。先生も、「何のゲーム?それ知ってる、YouTubeで実況見たことある」と話に乗ってくれていた。ゲームばかりして、昼夜も逆転しかけてる生活を否定せず、楽しく話に付き合って下さることが有難くもあり、不思議でもあった。
不登校になったばかりの頃はゲームもしないで閉じこもっていたのが、ゲームが出来るようになったのは、少し気持ちが回復したのかなぁと前向きに捉えつつも、ゲームばかりの生活に不安があった。
ゲームに没頭するにも理由がある
ある日、不登校の子を持つ親の座談会をテレビで見た。専門家の意見を混ぜながらの座談会だった。息子と同じく、昼夜逆転、ゲーム漬けの生活を送っている子が多くいた。
ゲーム依存かと心配する親に、専門家は「心配いらない、ゲームに没頭することで不登校で負い目を感じる生活を忘れ、心のバランスを保っている、昼夜逆転も同じような理由で、昼間起きていたら学校の事を考えてしまう、学校が閉まっている時間なら考えなくて済むから、夜に活動する方が気持ちが楽なんです」と話していた。
そうか、そんな理由があったのか、だからカウンセラーの先生は息子の生活を否定しなかったのだ。ゲームやり過ぎ、早く寝なさいと毎日言っていた。
もっと早く知っていたら、息子の気持ちに寄り添った言葉をかけられたかもしれないと考え直した。子どもの行動1つひとつに意味があり、理由があることを忘れてはいけないと思う。