衝撃の宣告

5歳から9年間続いた、長男のてんかん治療。
よく頑張ったと思う。
やがて、脳波検査でてんかん波は出なくなってきた。
そしてとうとう中2で
「もう完治と言っていいでしょう。薬をやめましょう。」
と言われた。

本当に嬉しかった!
ところが・・・医師は息子がいない時に、その先がある事を告げた。
「おかあさん、実は、この子、CK値がいつも高いんですよ。」

CK値?なにそれ?

「CK値は激しい運動をした後によく見られる『血中に筋肉の組織が流れ出てくる状態』を表します。この子、別に激しいスポーツもしてないし、多分・・・・筋ジストロフィーだと思われます。」

筋ジストロフィー???

元気だけど?普通に動いてるけど?

もう後は真っ白・・・・

病院から戻り、長男がいない所で私と夫は号泣した。

どうして神様はあの子を選んだのか。どうして私は息子を見送る側になったのか。それをどうやって彼に伝えればいいのか。何もわからなかった。

しかし、長男はもう15歳になろうとしていた。来年は高校受験。いつ動けなくなるかわからない。やりたい事をさせてやらないと・・・

口の下手な夫を抑えて私は長男の部屋をノックした。

なんという偶然か、彼は24時間のチャリティー番組を自室で観ていた。障がい者の出演者たちの中に筋ジストロフィーの人がいた。

私は意を決し

「この人達、可哀そうだと思う?」

と切り出した。

「別に。なんで?」

カラッと言う。

「実はあんた筋ジスだって。」

長い沈黙・・・まだテレビを観たままの長男。

「それで、動ける間にいろいろ先の事、準備しとこうと思って・・」

泣きそう。でも一番辛いのは私ではない。ここで泣くわけにはいかない。

「わかった。ちょっと考えさせて。」

長男はテレビを観たまま言い、そのまま引きこもった。

そして四日後、腹をくくった長男の決意に、我が家はまた別の意味で嵐に巻き込まれていくのだが

🌸その話は、次の回で🌸